自由主義政治の低下

自由主義は一般に個人の権利を保護し、選択の自由を最大化することを主張する政治思想である。経済学者アダム・スミスは政府の市場に対する干渉が経済成長を妨げる危険性を指摘した。なぜなら特定の組織が市場を独占すれば、価格の競争や商品開発の動機が失われてしまうためである。つまり経済の自由放任を維持することで市場は自らの調整能力を発揮することが可能となる。

この経済学的な見解は、社会が政府から可能な限り自由であるべきという古典的自由主義のイデオロギーとして確立された。しかし古典的自由主義が前提と見なしたほど市場の調整機能は完全ではないことが明らかになると自由主義の理論は近代的自由主義のイデオロギーへと発展する。トマス・ヒル・グリーンは政府による社会への干渉を問題にするのではなく、政府が社会の自由を保障することを問題とした。つまり消極的な政府からの自由を目標とするのではなく、積極的自由を実現するために政府の干渉を正当化した。






近代の民主主義の政治

今日的な意味での民主主義は、西欧の近代市民革命を通して広まり、近代市民社会の根本的原理となった議会制民主主義である。プラトンやアリストテレスが整理した3分類の概念を、ホッブスを始め、モンテスキュー、ジョン・ロック、ジャン・ジャック・ルソーらが引用した上で、新たな意味合いを吹き込んだのであるが、その内容は論者によって異なり、多岐にわたっている。



民主主義ないし民主政の発現形態は、人民主権や三権分立の概念との関係も含め、その国の歴史に応じて一様ではないが、ルソーやロックらの啓蒙思想は、フランス革命やアメリカ独立戦争に多大な影響を与えた。アンシャン・レジームの代表である裁判官への不信があったフランスではルソー流の人民主権論が、法の支配の下司法権の優位が確立されていたアメリカ合衆国では、ロック流の人民主権論が影響を与えているが、イギリスでは、現在も立憲君主制がとられている。